にせきなこもちぶろぐ...かつて新進気鋭の路麺愛好家学生であった(過去形)Kanapikaが、立ち食い蕎麦(路麺)についてたまーに何か書きます。
頻繁な更新は出来ませんが、そばのように細く長ーーく(極太麺もイイネ!)
天ぷらそば(310円)
大黒ふ頭内、ベイブリッジのたもとにある「大黒ふ頭厚生センター」の建物内にあるお店。
横浜の港湾エリアの食堂事業は「海員生協」と「波止場食堂(横浜港湾福利厚生協会)」の2者が分担しているが、ここでは食堂を後者、売店を前者が運営している。
定食類はカフェテリア形式で、麺類は独立した別のカウンターで受け取る方式。
そばは波止場食堂の各店で出されている共通の味で、かき揚げのうえに多めに盛られたねぎが美しい。
以前より多少の値上がりはあるもののそれでも天ぷらそばが310円という破格で供されており、
40年ぶりといわれる物価高にあえぐこの冬、この一杯が港で働く者たちを温めてくれる有難い存在であるに違いない。
ごちそうさまでした。
あさりかき揚げそば(690円)
東京湾アクアライン、海ほたるPA内にある"洋上の路麺"。
上階は華々しい観光スポットとなっているが、同店のある最下層は大型車駐車場となっており、階段の裏にひっそりと佇む姿は「知る人ぞ知る」といった雰囲気である。
観光バスの乗務員と思しき先客に続いて食券を求めるとプラ製の番号札を渡され、すぐにパチパチと油のはねる音が聞こえてきた。
立ち食いスペースのみの狭小な店であるが、天ぷらは注文後に調理してくれるようである。
しばらくして出来上がったそばを受け取ると、軽いプラ製のやや小ぶりな丼と、それと同じくらいの直径をした大きなかき揚げが目をひく。
麺もつゆも気になるが、まずはこの巨大なモノをやっつけない事にはどうにもならない。
箸から齧りつき、また、箸で崩しながら、巨大かき揚げを胃に収めていく。あさりも結構な割合で入っている。
そうして丼からかき揚げが姿を消した頃には、つゆも衣に吸われて減っており、夏場のダム湖の底のように、残った麺が顔を覗かせていた。
洋上の路麺は、未知の巨大怪物との遭遇であった。
川崎と木更津を結ぶ高速バスはこの海ほたるで途中下車が可能で、車を持っておらずともアクセスが可能。ちなみにバス停は店のすぐ目の前。
ごちそうさまでした。
かき揚げそば(500円)
新横浜駅から北に真っすぐ伸びる大通り沿い。環状2号線沿いにあった「春夏冬」が閉店してしまった今、新横浜の駅外では唯一の純粋な路麺店である。
ここは以前「矢萩」という同じく路麺を供する店であったけれども、その閉店後2か月でオープンしたのがこちら。といってもどちらも日本レストランシステムという会社の経営で、どちらかというとリブランドというのが正しいか。
店頭の券売機で食券を購入すると自動的に注文が厨房へと伝わり、出来上がりとともに呼ばれて食券と引き換える方式。わずかに開いた提供口を除いてはお冷のコップや箸などが並んでいるため調理の様子はなかなか窺い知る事は出来ないが、悪疾蔓延る現代ではこうした接触を減らした配置は理にかなっているのかも。
揚げたてで出てきたかき揚げは具材の長ねぎの香ばしさが目立つ。
生麺と思われるそばはもっちり感が特長でやや甘口のつゆとの相性は悪くない。
店内も、提供される料理も新規改装によって以前よりブラッシュアップされた印象で、なかなか路麺店の少ない新横浜で今後も孤軍奮闘頑張っていく決意のようなものも感じられた。
ごちそうさまでした。
かき揚げ蕎麦(390円)
今回は、沖縄本島に唯一存在する(?)日本蕎麦の路麺店を訪れてみた。
那覇市中心部、久茂地川とその上空に走るモノレールの線路沿いにある「永冨蕎麦」である。
沖縄県内において「そば」(ウチナーグチでは、すば、とも)といえば基本的には小麦粉にかん水を加えて打った麺を豚とカツオの出汁で取ったつゆで食す、いわゆる沖縄そばの事を指し、それを供する店がほとんどであるが、ここでは内地と変わりのない、日本蕎麦を立ち食い形式で出している。
メニューも一般的な種モノが並んでおり、路麺では定番のかき揚げ蕎麦を頂いてみた。
そばは注文後茹での生麺を使用しており、もっちりとしたコシが楽しめる。
つゆはいわゆる関東風のカツオだしに濃口醤油を使ったものであるが、見た目の色ほど醤油感が濃くなく、出汁の風味で飲ませるようなつゆは沖縄そばのだしに通じるものを感じた。
かき揚げもぱりっと乾いた食感で食べ応えも十分。当地では天ぷらといえばフリッター様の厚いコロモのついた沖縄天ぷらを想像するが、ここでは天ぷらも内地仕様のようだ。
ここの経営は那覇で「せんべろ」ブームの火付け役となった居酒屋、「足立屋」なのだそうで、次は「立ち食い蕎麦」ブームを引き起こせるだろうか、期待したいところである。
沖縄らしい白い壁に石敢當、UCCの自販機、木製ベンチ。比較的新しいお店なのにもう何十年も前から沖縄に路麺文化があったかのような佇まいがたまらない。
ごちそうさまでした。
かき揚げそば(550円)
地下鉄ブルーライン仲町台駅前。高架下に続く歩行者専用道路に面したお店で、車で走っていても見つけられない。
入口からみた外見に反して店内は天井が高く、ちょっとログハウス風。
奥のキッチンに面したカウンターで代金を支払うと、すぐに料理が供された。
揚げ置きのかき揚げは油が切れてさっくり軽い食感。たまねぎ、にんじんを主としたソリッドな先端部がつゆに浸っていくと居住まいを崩し、揚げ油の旨味をつゆへと譲り渡す。
甘みとコクのあるつゆは飲み干してしばらく余韻が続く味。茹で置き生麺と思われる麺もそうした濃厚なつゆと手を取り合っていて役者に不足はない感じ。
食べているうち続々と近くで働いているだろう勤め人たちが列を成し始めた。このあたりはニュータウンといっても住宅に混ざってオフィスも多い。昼食の選択肢の決して多いとは言えない小駅の傍にこうした"ちゃんとした"路麺を食べさせてくれる店がある事は当地に働く人々にとって心強い事だろう。
ごちそうさまでした。
天ぷらそば(400円)
伊勢原駅から900mほど歩いた沼目交差点角に最近オープンしたお店。白い看板に店名より大きな「そば・うどん・おにぎり」の文字、そして隣にならんだ「うまい ラーメンショップ」で神奈川ではおなじみのたつみやである。
このたつみやと隣のラーメンショップは客席や厨房が全く繋がって共通になっている店と、それぞれ仕切られて別となっている(裏側では繋がっているようだ)ものがあるが、ここは後者。
いわゆる"スカ天"スタイルに近いかき揚げは初めスナックのような硬くカリカリした食感だが、つゆに溶けるうちふわふわと食感が変わっていく。春菊の香りもアクセントだ。
甘みが少なくカエシが濃厚なつゆはたつみやでは共通の味覚だが、ここの特徴はほうれん草が載ること。一方でとなりのラーメンショップでは標準でワカメが載るから、なんだか逆転しているようで面白い。そばつゆを吸ったほうれん草もこれはこれでなかなかいいかも。
相模川の西では貴重な路麺系新店の誕生、繁栄を期待したいものだ。
ごちそうさまでした。